子供に譲ることができそうな腕時計

昔、懐中時計が全盛期のころは、形見の品として受け継がれました。蓋の裏側に故人の写真
が貼られていたりしたものです。現代では時計を形見とする慣習は薄れましたが、それでも
故人が愛用していたものですと、やはりずっと大切にしたいという気持ちになるでしょう。

形見に限らず、現代では現役を退いた人が息子や娘に腕時計を譲る場合があります。とくに
子供が社会へ飛び立とうとしているときに、お祝いとしては最高のものではないでしょうか。
新しい腕時計を買ってプレゼントするばかりが能じゃありませんね。ずっと一緒に社会の中
で闘ってきた大切な戦友を託すのですから、これほどすばらしいお祝い品はありません。

でも、愛用していた腕時計なら何でもいいかといいますと、やはり子供の年齢や社会的な今
の地位を考えなくてはせっかくのプレゼントが分相応のものとなってしまいます。輸入の高
額品などは不似合いでしょうからね。最初からロレックスやオメガなどの高級品は避けたい
ものです。

となりますと、昔からずっと変わらないシンプルなデザインの腕時計が無難なところでしょ
うか。そういうデザインのものですとこの先何年も変わることがなさそうですので、安心し
て託せますね。たとえ子供さんにデザインの好き嫌いがあったとしても、シンプルなものほ
ど受け入れやすいと思います。譲る以上はやはり使ってほしいですからね。

中でも超お薦めなのは、親から子供へ、子供から孫へと引き継ぎたい機械式の腕時計です。
竜頭でゼンマイを巻くごとに愛着心が芽生えて定着してゆきます。親が亡くなったあとでも
こうやって同じようにゼンマイを巻いていたのかと思うとき、あなたの心の中では親はまだ
生きているのです。きっと、同じことを亡き親に代わってやっていることの輪廻の不思議を
感じることでしょう。だからこその親子であり家族なのですよね。

親から子供に腕時計を譲るとき、それは生きてきた証を譲るのと同じなのですね。人生とい
う年輪と軌跡を我が子へ託すに足りる腕時計とは、親自身が愛着を持って毎日欠かさず手入
れをしてきたものにしましょう。気持ちは必ず伝わり、子孫へ継承されていくと思います。

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